新築住宅における屋根施工の流れと所要日数
新築住宅における屋根施工は、建物全体の構造や耐久性を左右する重要な工程であり、最初から最後まで計画的かつ正確に進める必要があります。ここでは、一般的な木造一戸建て住宅を基準に、新築屋根工事の流れとそれぞれの工程にかかる所要日数を解説します。
屋根施工は大まかに以下の流れで行われます。
- 下地(野地板)の施工
- ルーフィング(防水シート)の敷設
- 屋根材の本体施工(瓦・スレート・金属など)
- 役物(棟板金・雨押えなど)の取り付け
- 最終チェック・清掃・完了報告
屋根施工の一般的な工程と内容は以下の通りです。
工程名
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内容
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野地板の施工
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垂木の上に構造用合板などの板を張る。水平・強度調整が重要
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ルーフィング敷設
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防水シート(アスファルトルーフィングなど)を全体に敷く
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屋根材の施工
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瓦・スレート・ガルバリウムなどを施工方法に応じて葺く
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板金・役物施工
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棟・軒・谷部分などに雨仕舞いを施し雨漏りを防ぐ
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検査・清掃
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施工後の不備・雨仕舞確認、廃材処理・引き渡し
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全体でおおよそ5〜8日程度が一般的な工期の目安ですが、建物の規模や屋根形状、天候条件などによって変動します。梅雨時期や台風シーズンは工期が延びるケースもあるため、計画段階から余裕をもって日程を組むことが推奨されます。
施工業者の選定にあたっては、工程ごとの写真記録を残しているか、屋根の勾配・野地板の厚み・ルーフィングの重ね幅など細かな施工基準を明示できるかを確認することが信頼性のある業者かどうかを判断する材料になります。
さらに、屋根施工には「足場」が必要になるため、屋根工事以外の作業(外壁塗装や雨樋設置)と同時に行うことでコスト削減にもつながります。
リフォーム時の屋根工事工程!雨漏り対応や季節要因も含む
既存住宅の屋根リフォームは、新築と異なり現況の屋根状態に応じた柔軟な対応が求められます。リフォームの目的としては、雨漏りの修繕、経年劣化による屋根材の交換、断熱・遮熱性能の向上、外観のリフレッシュなどが挙げられます。
屋根リフォームでよく行われる施工方法は主に以下の3つです。
- 塗装リフォーム(表面保護)
- カバー工法(既存屋根に新しい屋根材を重ね葺き)
- 葺き替え工事(既存屋根を撤去し新しい屋根に交換)
リフォーム時の大きな特徴は、既存屋根の状態評価が必要であることです。屋根裏からの雨水浸入、下地材の腐食、野地板のたわみなどがある場合は、カバー工法では対応できず葺き替えが推奨されます。
また、雨漏りの原因が「屋根そのもの」ではなく、外壁との取り合いや谷板金・棟板金の劣化であるケースもあり、事前にドローンや赤外線カメラを用いた詳細な点検が不可欠です。無料点検を実施している業者も多いため、信頼できる専門家の診断を受けることが重要です。
特に台風被害を受けたあとは悪徳業者による飛び込み営業も急増するため、以下の点に注意しましょう。
- 屋根の不具合を突然指摘してくる
- 「今だけ割引」などの煽り文句を使う
- 名刺や会社所在地が曖昧
- 契約を急がせる、即日工事を提案する
- クーリングオフ制度や保証内容を説明しない
リフォーム工事では火災保険が利用できる場合もあります。例えば、台風による飛来物で屋根の棟板金が破損した場合などは、「風災」として保険が適用される可能性があります。保険申請には「工事前の被害状況の写真」や「施工見積書」が必要となるため、事前準備をしっかり行っておくとスムーズです。
DIY施工の現実とリスク!プロ施工との違いとは
屋根施工をDIYで行おうとする方は少なくありません。特にインターネット上で施工動画やマニュアルが簡単に入手できるようになった現在では、簡単に見える工程もあります。しかし、屋根施工は高度な専門知識と技術、安全管理が求められる作業であり、軽視して取り組むことは非常に危険です。
DIYで発生しやすい問題とその原因は以下の通りです。
- 材料選定の誤り(防水性の低い安価なルーフィングなど)
- 適切な勾配設計ができず雨水が滞留
- 屋根材のビス打ちが甘く台風時に飛散
- 接合部(棟・谷・軒先)の施工ミスによる雨漏り
- 足場や安全帯の未設置による転落事故
また、一般的な家庭で使用できる道具と、プロが用いる専門工具では作業精度が大きく異なります。特にガルバリウム鋼板などの金属屋根材では、カットや固定に専門的な加工技術が必要であり、正しく固定されていない場合は風圧で剥がれるリスクがあります。
施工の質だけでなく、保険や保証の観点からもDIYには大きなリスクがあります。プロ業者による施工では、万一の雨漏りや不具合が発生した際に保証対応がある一方、DIY施工では自己責任となるため、将来的な費用リスクが高くなります。
DIYとプロ施工を表の形で比較しました。
項目
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DIY施工
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プロ業者施工
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材料調達
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自身で選定。品質の判断が難しい
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専門業者が最適な資材を選定し安定供給
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技術力
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独学または動画頼りで精度にバラつきあり
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資格を持つ職人が施工。精度・耐久性が高い
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安全面
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高所作業の危険大。転落事故のリスク
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足場・安全帯・ヘルメットなど完備
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保証・保険
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一切なし。トラブルは自己責任
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工事保証書あり。火災保険対応の実績も豊富
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長期コスト
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初期費用は安いが、やり直しのリスクが高い
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高品質な施工で長期的な安心と維持費削減
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屋根は日々の雨風や紫外線にさらされる最も過酷な部位であり、その施工品質が住宅全体の寿命を左右すると言っても過言ではありません。DIYで対応するのではなく、長期的な安全性とコストパフォーマンスを考えるなら、信頼できるプロ業者に依頼することが最も賢明な選択です。