屋根材ごとの塗り替え目安(スレート・トタン・瓦・ガルバリウム)
屋根の塗り替えは、使用されている屋根材の種類によって最適な時期や頻度が大きく異なります。どの屋根材でも、紫外線・雨風・温度差といった自然環境の影響を長年受け続けることで、塗膜が徐々に劣化し、防水性が低下していきます。これにより雨漏りや腐食のリスクが高まるため、素材ごとの特性を理解したうえで、適切な時期に塗り替えることが重要です。
まずは主要な4種類の屋根材について、耐用年数や塗り替えサイクルを比較した一覧表を紹介します。
屋根材別の塗り替え時期と耐用年数の目安
屋根材の種類
|
耐用年数の目安
|
初回塗り替え時期
|
特徴と注意点
|
スレート
|
20〜25年
|
10年前後
|
最も普及している。軽量で安価だが塗膜が劣化しやすい
|
トタン
|
10〜20年
|
7〜10年
|
錆に弱く、定期的な防錆塗装が必要。古い住宅に多い
|
瓦(和瓦)
|
50年以上
|
基本的に塗装不要
|
瓦自体は耐久性が高いが、下地や漆喰の補修が必要
|
ガルバリウム鋼板
|
25〜35年
|
15〜20年
|
耐久性に優れ錆に強いが、初期の塗膜保護が重要
|
スレート屋根は現在も多くの住宅に採用されており、価格と施工性に優れる一方で、塗膜の劣化による防水性の低下が比較的早く訪れます。そのため、最初の塗り替えは築10年を目安とし、以降は7〜10年ごとの塗装が推奨されています。
トタン屋根は、特に1970年代以前に建てられた住宅によく見られます。軽量かつ加工しやすいという利点がありますが、塗膜が剥がれると急速に錆が進行するため、こまめな点検と防錆塗装が不可欠です。
一方で、瓦屋根の中でも粘土瓦や陶器瓦は非常に耐久性が高く、基本的に塗装の必要はありません。ただし、漆喰部分の補修や下地材のメンテナンスは定期的に行うべきです。瓦の表面が塗装されているタイプ(セメント瓦やモニエル瓦など)の場合は、塗膜の劣化に注意する必要があります。
ガルバリウム鋼板は比較的新しい屋根材で、錆に強く耐久性にも優れているため、近年の新築住宅で多く使われています。ただし、最初の15年程度は塗装不要でも、その後は表面保護のために再塗装が必要となる場合があります。
屋根材の種類により、塗装の必要性とタイミングは明確に異なります。屋根の寿命を延ばすためにも、住宅に使用されている素材の特徴を正しく理解し、早すぎず遅すぎない時期に塗装を計画することが住まいを守る最良の対策といえます。
外壁塗装と屋根塗装は同時にするべきか?
屋根と外壁の塗装は、住宅メンテナンスのなかでも大きなコストがかかる作業です。そのため、両者を別々に施工すべきか、同時に行うべきか悩む方も多くいらっしゃいます。結論から申し上げると、同時に施工することでコスト面でも工程面でも多くのメリットがあります。
最大のポイントは「足場代の節約」です。屋根や外壁の塗装では、高所作業のために必ず足場の設置が必要となります。足場の設置・解体にはおおよそ15万円〜25万円程度が発生し、この費用は施工箇所の大小にかかわらず一律で発生します。つまり、屋根と外壁を別々に施工すれば、足場費用が2回分かかることになります。
塗装のタイミングが一致していれば、以下のようなメリットが得られます。
屋根・外壁同時塗装のメリット
- 足場代が一度で済むため、費用総額を抑えられる
- 工事期間をまとめられるため、生活への影響が最小限で済む
- 外観の統一感が出るため、塗装後の仕上がりに満足しやすい
- 補助金やリフォームローンの対象範囲が広がる可能性がある
外壁と屋根で使用する塗料や色の調和も考慮することで、家全体の印象をより美しく仕上げることができます。また、同時施工の際には業者によっては割引キャンペーンや長期保証の適用があるケースもあります。
ただし、築年数や使用している屋根材・外壁材によって、劣化スピードには差が出る場合があります。たとえば、ガルバリウム鋼板の屋根は長持ちする一方で、サイディング外壁は劣化が早いことがあります。劣化の進行状況に合わせて、プロの診断を受けた上で、同時施工の可否を判断することが大切です。
総合的に見て、費用対効果・工期・外観の観点からも、塗装のタイミングが近いのであれば同時施工を前向きに検討する価値は十分にあります。
屋根に現れる劣化症状一覧とチェック方法
屋根の塗装時期を見極めるには、まず劣化の兆候に気づくことが大切です。日常生活ではなかなか屋根の状態を細かくチェックする機会がありませんが、実は遠目からでも確認できるサインが多数存在します。
以下は代表的な劣化症状をまとめた一覧です。
屋根の劣化症状とその意味
症状
|
原因
|
放置した場合のリスク
|
色あせ
|
紫外線・風雨
|
美観の低下、塗膜劣化の初期サイン
|
チョーキング(白い粉)
|
塗膜分解
|
防水性の低下、表面劣化
|
コケ・藻の発生
|
湿気、日当たり不良
|
滑りやすくなる、屋根材の劣化促進
|
ひび割れ・浮き
|
熱伸縮や経年劣化
|
雨漏りリスクの増大、屋根材破損
|
サビ・腐食(金属屋根)
|
防錆塗装の劣化
|
穴あき、葺き替えが必要になる場合も
|